ISBN:4062750910 文庫 中山 可穂 講談社 2005/05 ¥650

「マラケシュ」と検索をかけると、結構この本が引っかかってきて
ちょっと気になってました。
まだ、中身は読んでないので例によって(後日追記予定)ということで。

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(5/28 追記)ネタばれです。
簡単なあらすじ
この作品は、歌人緒川絢彦と絢彦の師・小川薫風の妻小川泉との不倫の愛の物語です。
絢彦は参加している結社の歌会で、自分の歌のファンだという小川泉と出会います。
二人は互いに一目見たときから魂のレベルで互いを必要とし合っていたことを徐々に悟ります。
しかし、互いの立場などを考え、契らずに友人でいよう、と誓い合います。
絢彦はたくさんのガールフレンドを持っています。
そしてその中にはアイドルの広瀬マオがいます。
マオは絢彦に一方的にのめりこんでいき、そしてその関係がスキャンダラスにマスコミに取り上げられます。
絢彦はマオを守るためにマオの所属事務所の人間に土下座までするのですが、その光景を見たマオが相手を灰皿でなぐりつけ、二人は遁走します。
そして海外に逃げようとしたところで二人は見つかり、マオは連れ戻され、
泉に危害を加えられたくなければ消えろといわれた絢彦は、結果的にマオを見捨て、一人海外へと旅立ちます。
しかし、絢彦が海外に立つ前に送ったメールにただならぬものを感じた泉が絢彦を追ってきました。
二人は駆け落ち同然でスペイン、そしてモロッコのマラケシュへと落ち延びていきます。
しかし、その地で、絢彦は決して自分にはつけることができない愛情の爪痕を師である小川薫風が泉につけていたことを知り、愕然とします。
泉は妊娠していたのです。
なぜ、絢彦が愕然としてしまったか。
絢彦は、本名を「絢子」という、女流歌人だったからです。
そして、泉に対して憤った絢彦はある罠を仕掛けます。
しかし、それが結果的に永遠に泉を失うことになるのです・・・


最初、読み進めていったときに、題名どおりの結末になるのかな、と
漠然と考えていたのですが、題名どおりの結末は主人公ではない人物に用意されていました。
深く愛に堕ち、全てを失ってマラケシュから戻り、そして虚無のなかに生きる絢彦を最後に奇跡的な光が照らします。
それは作者の優しさなのでしょうか。
それとも、死んでしまうよりも残酷な時間を主人公に体験させようとしたのでしょうか。

絢彦よりも、物語のなかで途中で放り投げられてしまった感のあるマオの方に私は興味が行きました。
マオは絢彦と引き離されてからどうなったか。
続編のようなものがあれば読んでみたいです。

(さらに追記する、かも?)

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