ISBN:4041986036 文庫 ナンシー関 角川書店 1997/06 ¥504

今日から大掃除をしようと思ったら、いきなりの雪で
出鼻くじかれた感のある私。
開き直って今日は最低限の家事のみして、本を読みました。
ま、病み上がりだし、と自分に言い訳しつつ。

で、読んだ本はこの本な訳ですが。
「信仰」と言っても、宗教の話ではなく、
ある一つのものに入れ揚げている人たちの観察日記です。
その対象は、ウイーン少年合唱団だったり、矢沢永吉氏だったりします。
それをこの筆者独特の鋭い観察眼で、すぱんと小気味よく、
そう、ギター侍なんかよりも遥かに小気味よく斬っているのです。

いくつかの「信仰」の対象のなかで、一番印象に残ったのが
ウイーン少年合唱団の追っかけのみなさんの話。
ウイーン少年合唱団は何年かに一度来日して、全国各地を回るんだそうです。
この合唱団は、変声期を迎えると「定年」ということで退団となり
年金なんかももらえちゃったりするわけですが、
この追っかけのみなさんは、全国ツアーに回ってなんとか知り合いとなり、
退団した元団員と文通したりするんだそうです。
その文通相手がいる、ということが、ウイーン少年合唱団の追っかけ界の中では
ステータスで、中には、クリスマスは文通相手の家にステイするのよ、
なんて人もいるんだとか。
すごーーーーい。
ていうか、日本のおばちゃんと文通する元団員もすごいよ。

その「信仰」の対象が何であれ、一直線に入れ揚げている人は
斜めから見られたらかなり恥ずかしい状態をさらけ出しているわけで。
たとえば、私だったら宝塚の樹里さんファンな訳ですが
斜めから見たら、やっぱり「どうなの?」と
思われても仕方ないのかなとも思ったりすることもあります。
ただ、そういうことを勘案しても、何かを「信仰」している人は
かなりの割合でいるはずです。
そして、その方が絶対人生楽しいと思うのです。
ただ、その姿を時には立ち止まって見直してみるという分別も
必要なのだなと、この本は諭してくれているような気がしました。

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